MASAMUNE HALF
無差別格闘流 武田道場の跡取り、元親くん。 同じく無差別格闘流の政宗くんとは許嫁の関係。
しかし、この許嫁には重大な秘密があったのです・・・。
記憶に残っているのは、儚い笑顔。いっそ泣いてしまった方が楽になれるだろうに、涙を見せることなくあの子は笑っていた。
あの子には年下の兄弟が二人いて、その子たちを守っていかなきゃいけないからというのが口癖だった。その口癖を聞くたびに、胸が苦しくなった。
「じゃあ、お前はおれが守ってやる」
口に出した言葉は幼い誓い。あの子は目を丸くした。銀色のふわふわとした頭をぎゅっと抱き込んで、怒鳴るようにしてもう一度言った。
「おれが、守ってやる!」
だから、泣きそうな顔で笑うくらいなら、声をあげて泣けばいい。泣き顔を見られたくないなら、頭を抱いててあげるから。
やがて、胸元から短くしゃくりあげるような声。額を押しつけられた胸がじわりと熱く滲んで。気づけば、己の目元も熱くなって。
無理しなくていい。我慢しなくてもいい。
君をまるごと全部、おれが守るから。
強くなって、守るから。