類は友を呼ぶ
元親は確かに元々お祭り騒ぎが好きな質で、更に言うなら、ノリもいい質だ。
しかしながら、今現在隣にいる男も大概なのではないか、と元親は思った。
高校で新しく出来た友人は、若干一年生にして陸上部のホープ。
インターハイにも出るというのだから、友人の元親としてもすごいもんだと嬉しいものがある。
しかも今年は会場が県内だというのだから。
そりゃ応援にいくしかあるまい。
そう言って、連れに引っ張りだしたのが、同じく高校で新しくできた友人の政宗だった。
昼も一緒に食べてるし、遊びにいったりもする。
早い話が、連みやすいのだ。
そんなわけで、政宗の携帯に電話をいれ、一緒に応援に行こうぜと誘ったのが昨日のこと。
政宗は初めは、面倒くせえと難色を示していた。
まあ確かに、積極的に友人の応援にいくタイプには見えない。
しかしそんなことは初めから予想していたことで、つまり、ここで大人しく引き下がるなら初めから誘いなどかけはしないわけで。
「どうせテメエも暇だろ」
そう一言言ってやれば。
電話の向こうの相手は言葉をなくしたようだった。
あとはもう押したモノ勝ちとばかりに、勝手に待ち合わせの時間と場所を告げて電話を切った。
多少は、無視されるかもしれないという不安もあったが、結局政宗は待ち合わせ場所に来た。
しかも、元親が来るよりも前にだ。
思わず顔を緩めれば、気持ち悪い顔すんじゃねえよと、朝から冷ややかな言葉をいただいた。
あくまで、無理矢理つきあわされた、面倒くさいという態度の政宗だったが。
いざ競技が始まってみれば。
声を張って、友人に向かって檄をとばしているのだから。
素直じゃねえあと元親は内心で、これまた政宗が聞けばますます眉間に皺を刻みそうなことをのんびりと思った。
要するに、元親も暑苦しい男だが、十分にこいつも暑苦しい男なのだ。
本人はどうあっても認めようとしないだろうが。
思い返せば、球技大会のときもそうだった。
闘争心に目を光らせ、唇は物騒な笑みを刻んでいた。
そのときのことも思い出して、思わずくっと笑うと。
何だよ?と隣から怪訝な声がかけられ。
元親は小さく笑いながらも、いや何でもねえと首を振った。
政宗は片眉を上げて、不思議そうな顔をしたが、すぐにまた顔をグランドに戻し、声を上げる。
前々から思っていたことがある。
自分とこの男は、時折面白いくらいに思考が似ている。
特につまらないことで喧嘩するときや、悪ノリするときは。
何故かひどく楽しくて、そして嬉しいと思ってしまった自分がいて。
ああ、結局のところ。
「類は友を呼ぶってことなのかね」
=あとがき=
短いですが、まずは夏休みの一場面から。
学園の筆頭は、やはり基本クール気取ってますが、懐にはいっちゃうと暑苦しい中身が見えてくる、そんな男だと思います。
兄貴は中身暑苦しいが見た目爽やか、風吹いてる。
幸村は見た目も中身も暑苦しい。
佐助は見た目も中身もハイパークール。