メープルシュガー


恋人という肩書きが加わるまえ、悪友だったときから、思い返せば政宗は元親にべたべたとくっついてきていた。
大げさなスキンシップには慣れている元親だったので、別にさほど気にしたことはなかった。
しかし、これは何だか普段のべたべたとは勝手が違う。
元親は居心地悪そうに俯いた。
「Hey,どうした、さっきから黙って」
背中から元親を抱きしめている政宗が尋ねるが、元親のほうは答えられやしない。
政宗は元親の腹の前で手を組んでいるから、隙間もなく後ろからぎゅうと抱きしめられている状態なのだ。
身体をかちこちに強ばらせて、元親はじっとしていることしかできない。
政宗が鼻先で元親の髪を梳いて。
耳朶に吐息が触れる。
「チーカ」
笑みを含んだ声が直に鼓膜を震わせて。
元親は内心でぎゃーと悲鳴を上げたが、実際に唇からこぼれたのは、ふえっという悲鳴にすらなっていない声の断片だった。
背後の政宗が小さく噴き出したのが分かって、元親はますます身体を強ばらせた。
「んだよ、それ」
そう言われても、元親自身の意志ででた言葉ではなかったのだから、答えようがない。
「んなビビんじゃねえよ。何もしねえよ」
流石にその台詞には黙っていられず、元親はむっとして顔だけで後ろの政宗を振り返った。
「びびってねえよ!」
「ああそうだよな。緊張してるだけだよな」
「・・・」
元親は唇を引き結んで前に向き直った。
まさしくその通りだったので言い返せないのだ。
そう、友人としてのスキンシップなら欠片も気にならなかったのに。
恋人としてはまた勝手が違う。
火照ってがちがちに固まったままの体。
元親は、これはもはや自分の体ではないのではとすら思った。
が、固まっていても、政宗の腕の感触や、肌をくすぐる吐息やらはきっちり感じられて、余計に元親は身を縮めた。
何だか、無性に恥ずかしくて死にそうだ。
政宗は上機嫌に喉をふるわせて笑った。
笑って、俯いているため露わになった元親の首筋にキスを落とす。
「せめてこれくらいのスキンシップには早いとこ慣れてくれよ、Honey?」
無理言うな!!と、元親はこれまた、言葉にならず内心で絶叫した。
恋人としてのスキンシップは、友人としてのそれとは違いすぎて、絶対慣れやしないだろう。
取りあえず、そう遠くないうちに、恥ずかしくて照れくさくておれは憤死してしまいそうだと元親は思った。





+あとがき+
らぶい話が書きたかったんです。
途中書きながらセルフツッコミの嵐です。
筆頭、アンタ、そんな調子のってたら後が怖いよ・・・!!!(爆)
前々から思って今したが、私はどうやら、後ろからぎゅってシチュエーションが好きらしいです(笑)